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pinon-pinon's bed side stories

のはら

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父から葉書が来た
初めてだと思う…

「星戀」という本を買って…と妹に話していた時
読みたそうにしてたので
ついでに買っておいたのを母にことづけた
その礼状だった

地上(このよ)の星を花といい
みそらの花を星という

ゲーテ?

で終わる短い私信

祖父は山登りが好きだった
父も山登りを愛していて
小学校の頃は休みのたびに
遠くの山や近くの山に連れてゆかれた

小学校2年生(?)のときの
たぶん、10月か11月の連休
わたしは1日学校を休んで
祖父と、叔母と、父の4人で
九重連山を歩いた
大人になって父からその時の話を聞いたら
わたしは山に「あたった」みたいになって
二日目の夜からひとことも口をきかなかったそうだ
何度か書いてるけど
わたしの記憶力はほんとうにお粗末で
そのときのことで覚えていることといったら
3日目(?)、だいぶ下ってきたときえんえんと歩いた
一面のすすき野原のことだけ…
風が吹いて、幾千、幾万の穂が揺れて
銀色の大海原のようだった
透明な日射しがそこらじゅうで踊り跳ねて
眩しくて、眩しくて、
それからとても、せつないような気持ち

あんまり覚えてないけど
いろんな野山の風景が
記憶のポケットに入ってるはず
のちのち、宮沢賢治が大好きになった時
賢治の、透き通った言葉の連なりに共鳴したのは
そんな記憶の景色だったんだろうな

ちょうど19日が誕生日だった父に
ここでこっそり、おめでとう
それから、ありがとう
by pinon-pinon | 2005-10-21 14:07 | matubara nikki